島の航海日誌

日誌(毎日更新するとは言っていない)

『2205』大長編予想:『デザリアム』編

■はじめに

全国2,205人のみやりゅー推しの皆さん、こんにちは。島です。

去る8月9日、リメイクヤマト公式が大規模なコンテンツ更新を行いました。

1つは、27日に円盤の発売を控えた現行最新作である

劇場作品『宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』冒頭映像の公開。

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アポロ11号の打ち上げから始まり、火星移民~内惑星戦争、

第二次火星沖海戦を始めとする『2199』の前日譚のみならず、

イスカンダルへの旅路の一部もちょい見せ…という豪華な22分です。

全人類見ろ。

 

そしてもう1つは10月に公開を控えた最新作

宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』の前章『TAKE OFF』の最新予告映像。

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2ヶ月前に公開された『時代』の上映後にサプライズで公開された

『特報』の興奮も冷めやらぬ中での本予告公開。

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劇場公開まで2ヶ月とやや早めのタイミングでの公開でしたが、

暗黒星団帝国(=デザリアム)軍の艦隊やその指揮官・デーダー提督など、

特報では見られなかった新たなカットが多数追加された68秒。

 

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同時に公開された最新のティザービジュアルのコピーが

もう大人には期待しない。』となっている通り、

『時代』のプロモーションでもターゲットとして言及されていた

ヤマトを知らない新規の若者層に照準を絞った宣伝戦略にも思えます。

 

かくいう僕も歴戦のファンの皆様に比べればまだまだ若輩の身ですが、

今回はそんな自分の立場を生かしつつ、前述した3つの映像と過去2部作から

最新作『2205』に登場する敵勢力『デザリアム』を大胆予想してみたいと思います。

当たらなくても石を投げないでください。

 

ちなみにバカみたいに長い記事なので着地点だけ書き並べると

①デザリアムは未来の地球の似姿として描かれる

イスカンダルはCRS奪取のために、

 ガミラスデスラーへの報復として襲撃を受ける

③デザリアムは疑似的に未来を観測しているに過ぎない

 

こんな感じです。

 

あとみやりゅー要素はありません。今回は真面目に考察します。悪しからず。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

予告映像中のセリフでも言及されていた『デザリアム』。

「2205」の原作である「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」と、

その続編「ヤマトよ永遠に」(以下「旧作」)における敵国家「暗黒星団帝国」がモチーフ。

…というか元ネタですね。

ちなみに「デザリアム」は旧作では暗黒星団帝国の母星の名前でした。

『2205』では彼らの国号そのものがデザリアムになるようですね。

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『前章』のラスボス(推定)である宇宙戦艦『グレートプレアデス』。

旧作で登場した『プレアデス』の強化版と思われます。カッコいい(小並感)

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グレートプレアデスを『操る(公式ツイート原文ママ)デーダー提督。

(以上2枚、『2205』前章・本予告より抜粋)

 

 

提督(艦隊の司令官)が艦を『操る』…どうも不自然な日本語ですが、

これもこの後の考察に関わってくるのでちょっとだけ覚えておいてください。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

さて、「2205」は名作『宇宙戦艦ヤマト』に端を発する

作品群のリメイクシリーズに列せられます。

先述した通り原作は『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』。

まぁ厳密にはキャラや登場勢力、ストーリーなどに

『新たなる旅立ち』以降の要素も含まれるのですが

その辺はあとあと説明します。

 

…と大見得切って書き始めたものの、

実は僕『新たなる旅立ち』フルで見たことないんですよね…(台無し)

というわけでここからはwikipedia先生の力を借りることにします。

引用部分はそれとわかるようにしておくので、浅学をお許しください。

ja.wikipedia.org

 

 

■前作『2202』から読み解く『デザリアム』

 :機械仕掛けの侵略者

 

「暗黒星団帝国」には様々な特徴があります。

ヤマトがメインエネルギーとして用いる波動エネルギーが弱点だったり、

何故か頭髪が寂しい兵士が多かったり。

ただ、「2205」が前面に押し出してきそうな設定が一つあります。

それは『サイボーグ軍団』としての一面です。

 

人民は地球人より高等生命体とされ、惑星をまるごと要塞化したり、

地球人類の脳細胞だけを一瞬にして破壊する「重核子爆弾」を建造するだけでなく、

人間の肉体を高度にサイボーグ化する、脳だけを異星人類の肉体に移植するなど、

軍事的にも医学的にも極めて優れた技術力を誇る。

(wikipedia『暗黒星団帝国』より抜粋)

 

本予告で新たに公開されたカットを見る限り、

この設定は「2205」でも受け継がれてそうです。

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こめかみを抑えるデーダー提督。

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カニカルなエフェクトと共に、青一色だった目元の肌が濃い色に染まり…

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瞳にもエフェクトが走ります。

(以上3枚、『2205』前章・本予告より抜粋)

ちなみに…

暗黒星団帝国人は頭部のみが生体で、首から下がサイボーグ化されている。

これは、高度な機械文明によって脳以外を機械で補うようになったためである。 

(wikipedia『暗黒星団帝国』より抜粋)

旧作においては頭部だけ生身の人間であるという設定でしたが、

(ビジュアル的にわかりやすいというのもあるでしょうが)

わざわざその反証となる目元の機械化を匂わせるカットを予告に採用した辺り、

「2205」版デザリアムは全身がサイボーグになっているのかもしれませんね。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

先ほど「サイボーグ軍団としての設定」を強調したのにも理由があります。

「2205」という作品はリメイクシリーズの3作目であるとお話ししましたが、

シリーズものということは前日譚となる作品があります。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たちがそれにあたります。

脚本陣が「2205」と同じ顔触れであることから、

「2205」に「2202」での設定が色濃く反映されるであろうことは

想像に難くありません。

 

察した人も多いでしょうが、何を隠そう『2202』にも

サイボーグ軍団の登場を匂わせる描写が複数存在しているのです。

『ガトランティスの捕虜から採取したデータで、

 人造兵士の製造も現実味を帯びている』

(第19話より、軍拡に伴う人材の不足を指摘された際の藤堂早紀のセリフ)

 

『こんな役立たずの手、早く交換しちゃいたい…!』

『時間断層で高性能の義手や義足の製造が始まってるって…。

 基本は負傷者用ですが、志願すれば…』

(第20話より、経験不足ゆえの未熟さを指摘された際の市瀬美奈のセリフ)

『2202』において追加されたこれらの描写(+その基幹となる時間断層という概念)は、

原作においては登場しなかった要素です。

それゆえに放映当時からコアなファンの間で

『暗黒星団帝国編への伏線では?』と囁かれていましたが、

今回改めてその予感が裏付けられた形になります。

 

もちろん根拠はこれだけではありません。

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(以上2枚、『2205』前章・本予告より抜粋)

宇宙戦艦『グレートプレアデス』の艦橋(戦艦のコクピットとでも思ってください)

と思しきこちらのカット。

本来巨大な戦艦を動かすためには砲雷長、操舵手、通信士、索敵士…と

多くのクルーが必要となるはずです。

ですが、グレートプレアデスの艦橋はがらんとしていて殺風景。

デーダー提督以外の人影がないのです。

 

…お察しの通り、似たような描写が『2202』にもありました。

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(『2202』第21話より抜粋)

『AIによる自律制御…乗組員はついに俺一人か』

(第21話・アンドロメダ改に単身乗り込んだ山南修のセリフ)

 

先に引用したセリフにもあった通り、

『2202』における地球連邦防衛軍は数年前まで壊滅状態だったので

異常なまでの人手不足。

その一方、地上の10倍の速度で時間が進む時間断層という特異空間の工場から、

宇宙戦艦が次々と吐き出されてくるという、これまた異様な光景。

山南さんが単身乗艦しているのも特例中の特例、

『2202』終盤は、防衛艦隊の大半がAIによって制御される無人というありさまでした。

『…大勢が死んだ。

 もう乗る人間の数も足りないのに、艦(フネ)だけ吐き出されてくる』

(第26話・戦後もなお稼働を続ける時間断層兵器工廠を見た山南修のセリフ)

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(『2202』第3話より抜粋)

そこに至った経緯に関しては想像で補うしかありませんが、

デザリアム艦隊もこのような状況に陥っている可能性は十分にあります。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

…もう少しだけ『2202』の話が続きます。

 

正気の沙汰ではない。が、時間断層という奇蹟の力を手に入れ、

ガトランティスという恐怖に直面した人は、

容易に正気を捨ててしまえるのだ。

それはまるで、ガトランティス帝国の似姿……。

愛するものを喪いたくないがために、

我々もまた愛を放棄した生き物に自らを変えていってしまうのだろうか?

(『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち -全記録集- シナリオ編』構成メモ④・第十九話の項より)

 

『ガトランティスなら、戦って死ね!』

(第18話・劣勢を報告したバルゼー将軍に対するゲーニッツのセリフ)

『どうしても償いたいというのなら、戦って死ね』

(第19話・利敵行為を働いた加藤を庇う真田に対する芹沢虎鉄のセリフ)

 

『2202』において、人間であることを捨ててでも戦い続ける地球の姿は

次第に強大にして無慈悲な敵である『ガトランティス』に近づいていきました。

いわば地球は『自分たちの未来の姿』と戦っていたのです。

 

『もう地球もガトランティスもない、

 時間断層がある限り…殺し合いは永遠に続く』 

(『2202』第21話・アンドロメダ改の艦内における山南修の独白)

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(『2202』第21話より抜粋)

『2202』ではサブタイトルにもある『愛』に重点が置かれたため、

この辺りの対比は第一章『嚆矢篇』~第二章『発進篇』、

第六章『回生篇』や最終話でしか触れられることがなく、

物語全体を貫く軸とはなりませんでした。

 

地球に軍事的・経済的優位性をもたらしてくれた時間断層という魔法は、
自分たちの命と引き替えに消滅してしまった―――
自責の念に駆られながらも、ヤマト新艦長の任についた古代進は、
来るべき有事に備えて新クルーらと共に訓練航海に旅立つ。

(『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』公式サイト・STORYより抜粋)

 

ですが、『2202』で敢えてこの軸を提示したということ、

加えてこの論理の象徴である『時間断層』の顛末が

公式サイトに掲載されたあらすじでも明記されていることを踏まえれば、

2205でこの対立軸がリフレインされる可能性も少なくはありません。

 

…というわけで、

「『2205』におけるデザリアムは

 "『2202』における地球"の未来の姿として描かれるのではないか」

というありきたりというかみんなが薄々感づいていたような、

『何だ、散々引っ張ってそんなことかよ』…といった風情の結論ですが、

考察はまだまだ終わりません。嘘だろ。

⚓ ⚓ ⚓

 

■『時代』から読み解く『デザリアム』

 その1:双子星を襲う目的

次の犠牲者参考資料は、冒頭22分が絶賛公開中の

劇場作品『「宇宙戦艦ヤマト」という時代…』(以下『時代』)です。

yamato2202.net

 

便宜上『2202』の総集編として位置づけられている『時代』ですが、

イントロダクションにもある通り、

厳密には『「2199」を含むリメイクシリーズ世界観の総括・復習』にして

「2205」への導入・前日譚』である…という特殊な作品です。

 

最新作『2205 新たなる旅立ち』をご覧いただく前に、

この"世界"(※)を0から見つめ直す旅にみなさんをお連れします。

(略)

そしてシリーズ未見の方は、

伝説の艦に乗り込む絶好のチャンスをお見逃しなく。

(『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』公式サイト

 イントロダクション・福井晴敏氏のコメントより一部抜粋)

※筆者補足:"世界"=『2199』に始まるリメイク『ヤマト』シリーズの世界

 こちらも構成・監修・脚本でクレジットされているのは福井晴敏氏。

『2202』『2205』と脚本を手掛ける氏が、

直接関わっていない『2199』の再構成にも携わっているのです。

 

この構造の賛否はさておき、『時代』にはただの総集編として以上に、

「2205」前日譚としての「2199」』という成分が含まれているのです。

他ならぬ福井さん本人がイントロダクションでそう述べているのですから、

『時代』を読み解けば逆説的に『2205』の展開を予想できるはずです。

 

…さて、『2199』と『2205』という2作品に共通する要素と言えば…

そう、『イスカンダル』です。 

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(以上2枚、『時代』冒頭22分より)

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(以上1枚、『2205』前章・本予告より)

 

wikipediaに丸投げするのは流石に忍びないので簡単に説明すると、

 

『第一皇女・スターシャとその妹である第三皇女・ユリーシャが

 たった二人で暮らす惑星。

 お隣さんのガミラスからは信仰対象として扱われており、

 全宇宙の生命の救済を目的とするまるで女神様のような平和主義国家』

 

…といったところ。

『時代』冒頭22分でも触れられている通り、リメイクシリーズ第一作『2199』では、

ガミラスとの戦争で滅亡の危機に陥っていた地球に救いの手を差し伸べてくれました。

 

ja.wikipedia.org

 

さて、『2205』の本予告には

『必要なのはイスカンダルのみ』

(話者不明、恐らくデザリアム関係者?)

というセリフが登場します。

『2202』までの世界においてイスカンダルのみが有している

いわばブラックボックスがデザリアムの行動理念のカギになりそうです。

 

さて、これを踏まえて今回フォーカスを当てる『時代』のシーンは、

冒頭で描かれているメッセージ映像ではなく、

本編中盤におけるヤマトがイスカンダルに到達した後の場面です。

気になる人は円盤を買ったりレンタル版を購入してください。(ダイマ)

ちなみに『2199』本編では24話にあたる部分ですね。

 

『生命を宿した惑星には、その星の物質と生命の進化の記憶が

 時空を超えた波動として存在している。

 その記憶を解き放つのは、星の想いを宿した物質…星のエレメント。

 コスモリバースはね…そのエレメントがここに来なくては完成しないの』

 (『2199』第24話より、わざわざヤマトを呼び寄せた理由を説くユリーシャのセリフ)

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(『2199』第24話より)

 

地球環境の再生システムとして登場する『コスモリバースシステム』(以下CRS)。

ココではその基礎理論が触れられていますが、

『時代』ではその後、その辺りに関わるような展開はありませんでした。

(強いて言うなれば特典小説『私の心がこのようにあることは』で

 少し触れられたくらい。これも名作なので円盤は限定版を買ってください(ダイマ))

本筋とは関係ないCRSの理論がわざわざクローズアップされた意味…。

ここにこそ『デザリアム』がイスカンダルを狙う理由があるのではないか。

予告編を見た時、そう直感したのです。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

話を少しだけ旧作に戻します。

旧作『新たなる旅立ち』では、こんなセリフが出てきます。

 

『我々がほしいのはイスカンダル星のイスカンダリウムだ。(略)

 我が帝国が現在戦っている宇宙間戦争に必要なエネルギーなのだ。』

(『新たなる旅立ち』より、古代に詰問された暗黒星団帝国・メルダース長官のセリフ)

 

戦争の道具として…という目的は、『2205』でも引き継がれるのではないか。

そう思っています。

 

『CRSをどうやって戦争の道具に?』

そう思った方もいるでしょう。

 

…もういるじゃないですか。

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(『2202』第六章・回生篇 特報より)

シャチハタとか言ったやつ、あとで時間断層来いよ。

波動実験艦・銀河です。文字通り俺の推しの艦です。

『増幅率、800万tPa!』

『コスモリバース、発動!』

(『2202』第21話より、『銀河』戦術長・日下部うららと艦長・藤堂早紀のセリフ)

銀河は、かつてヤマトがイスカンダルから持ち帰った

コスモリバースシステムを兵器として運用していました。

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(『2202』第19話より)

 『AIの判断承認だけが人間の仕事ってことですか』

『いずれはそうなるでしょう』

(『2202』第19話より、省人化が進んだ銀河の艦橋を見た南部康雄と、それに応える藤堂早紀のセリフ)

さらに次世代無人艦隊の先駆けとして、

艦内機構は極端なまでの無人化・省力化が進められています。

『2202』の地球艦隊全般に言えることではありますが、

ここもデザリアムとの共通項です。

デザリアムがかつての地球と同じ道を辿る(辿っていた)とすれば、

CRSの兵器転用に行きつく可能性も決して低くはないはずです。

 

…大げさな言い方をしましたが結局は単純な連想ゲームです。

予告では『回収作業』というセリフが出てきていることから、

旧作での星間物質の設定がそのまま踏襲されるかもしれません。

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(『2205』前章・本予告より、作業をしてそうな多脚戦車君)

 

ただ『時代』でCRS周りの設定が「復習」のように取り上げられたこと、

そしてCRS搭載艦が機械化の象徴として『2202』で描かれたこと…

この二つに意味があるんじゃないか?とこじつけつつ、

イスカンダルを襲撃した目的の予想はここまで。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

さて、続いてはイスカンダルのお隣さん『ガミラス』です。

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 (『2205』前章・本予告より抜粋)

『永世総統・デスラーを頂点に大マゼラン銀河に覇を唱えた強大な軍事独裁国家

 ヤマトの本土到達に端を発する動乱によりデスラーの権威は失墜し、

 現在はヒス副総統とユリーシャ・イスカンダルらの協力によって

 かつての敵国・地球と同盟を締結し、民主国家としての一歩を踏み出している』

 

『2199』では圧倒的な軍事力を誇る敵国として描かれたガミラス

ヤマトに敗北したことで強大な国力は失われつつあるものの、

表向きには平和な日々を謳歌している…はずだったのですが、

本予告の映像を見れば解る通り、ただならぬ事態に陥っています。

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(『2205』前章・本予告より、燃え盛るガミラスの街)

 

『2205』考察に踏み込む前に基礎知識として一つ。

惑星としてのガミラスは、実はすでに寿命を迎えつつある…

という設定が『2202』で語られています。

ここまでの解説だと、デスラー総統が

『ヤマトの本土到達を食い止められなかったヘボい独裁者』

になってしまうのですが、

実はデスラー総統はその血筋ゆえに受け継いでしまった

ガミラス臣民を生き永らえさせる』という使命を遂行するため

行動していたにすぎないのです。

『一人でも多くのガミラス臣民を救うのだ…!』

(『2205』前章・本予告、アベルト・デスラーのセリフ) 

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(『2205』前章・本予告より、驚愕の表情で叫ぶデスラー総統)

本国から追放されてもなお、デスラー総統は母星・ガミラスを思い続けていました。

 

そんな惑星ガミラスが、なぜ今回デザリアムの襲撃を受けることとなったのか。

この疑問を考察するにあたっても『時代』が活きてきます。

着目するのは、冒頭22分にも含まれているこのシーン。

 

相手に先に手を出させ、大義名分を得てから侵略を開始する

 …というのが、当時のガミラスのやり方でした』

(『時代』より、真田志郎のナレーション)

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(『時代』より、ガミラスの先制攻撃を受けて爆発炎上する地球の宇宙巡洋艦)

 

ガミラスが太陽圏を侵犯し、地球が先制攻撃を仕掛け戦争に突入した

…という設定そのものは『2199』の時点で言及されていました。

しかし、その経緯が『ガミラスの恣意的な行動である』という解釈は

『時代』において初めて言及されたものなんです。

わざわざ言及されたことを鑑みると、CRSの設定と同様に

この要素も『2205』に絡んでくる気がしませんか?

 

 

⚓ ⚓ ⚓

 

あちらこちらと飛び回るようで目が回ってしまっていたらすいません。

先に旧作『新たなる旅立ち』の設定を復習します。

 

ヤマトと別れたデスラー率いるガミラス帝国残存艦隊が、

新天地を探す旅に発つ前に今は無人となった母星ガミラス

最後の別れのために立ち寄ったところ、

謎の勢力である暗黒星団帝国が地下物質ガミラシウムを無断で採掘していた。

これに激怒したデスラーが交戦した結果、

ガミラス星は大爆発を起こして消滅する。

(wikipedia宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』より抜粋)

ja.wikipedia.org

太字で強調した箇所がポイントです。

 

まずは『無人となった母星ガミラス』。

これはリメイクシリーズにおいて改変されている設定です。

旧作では第一作におけるガミラス本土決戦で惑星全体が暴走し、

火山の群発的な噴火が発生したことでガミラスの民は滅亡しています。

生き延びたデスラーらも惑星を脱出していたため、

『新たなる旅立ち』の冒頭に繋がるのです。

 

続いて『デスラーが交戦』。

無人となったガミラス星の地表では、

暗黒星団帝国の艦隊が盗掘作業を行っていました。

いわば、実家に帰宅した途端空き巣に鉢合わせたような状況。

デスラーは当然正当防衛として攻撃を指示したのですが、

前述したとおりリメイク世界における惑星ガミラスには

未だ数多くの住民が暮らしています。

 

これらの二つの前提条件を踏まえて、

島が『時代』の新設定から導出した予想はこんな感じです。

 

イスカンダルを占拠しようとしていたデザリアム軍にデスラーが遭遇。

 イスカンダルを守るために先制攻撃を仕掛けるが、

 それはデザリアム軍の意図通り。

 大義名分を得たデザリアム軍がガミラスへの攻撃を開始する

 

いわばかつての『ガミラスのやり方』がそのままブーメランになって

返ってくるような構図です。 

 

リメイクシリーズの世界観に則りつつ、デスラー総統の株もそこまで落ちず、

旧作のエッセンスも残して『時代』の伏線も回収した

我ながらよくできた予想だと思うのですが…。

当たったら褒めてください。

 

…あと少しだけ続きます。いい加減にしろ

 

⚓ ⚓ ⚓

 

■『時代』から読み解く『デザリアム』

 その2:彼らが見てきた『歴史』とは

『歴史に残らぬ弱者どもよ、消え去れ!』

(『2205』本予告より、デーダー提督のセリフ)

 

『2205』前章・本予告で強調されていたこのセリフ。

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(以上2枚、『2205』前章・本予告より抜粋)

 

デーダー提督はじめ、

デザリアムがこの世界の行く末を知っているかのような言い回しですね。

『デザリアムは実は未来人なんじゃないか』

旧作の世界線を辿ってきたんじゃないか』

というような予想をチラホラ見聞きしますが、

僕の予想は似て非なるものです。

 

⚓ ⚓ ⚓

 

しつこいようですが『2202』と『時代』に立ち返ります。

『2202』にはこの世界の行く末を知っている人物(?)が一人登場します。

 

『その名はテレサ…。

 あの世とこの世の狭間にあって、全ての平安を願い続ける女神』

(『2202』第3話より、ローレン・バレルのセリフ)

 

テレサは惑星『テレザート』に住まう高次元の生命体。

精神力をエネルギーに変えることができるテレザートの民が、

死を克服するためにそのエネルギーを結晶化させた一つの集合知です。

 

彼女は時の流れが無限に引き延ばされた空間にあり、

この宇宙の始まりから終焉まで全てを見通すことができる存在。

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『"樹"を見ました。根元も先も見渡せないくらい大きな樹を…。

 テレサには時の流れがあんな風に見えてる…って。

 もしかしたら、あれがテレサそのものなのかも』

(『2202』最終話より、テレサが住まう高次元空間より生還した山本玲のセリフ)

 

 『2202』においてはしばしば、

無限に近い思索を繰り返すことは未来予知に等しい、という表現が登場します。

 

いわば高次元への辺端。真田の台詞からのあくまで推論になるが、

"時間が無限に引き延ばされた"宇宙の終焉事象に間近い、

あらゆる可能性の終着点付近に当たる[平衡空間]なのだろう。

そこはもはや何も動くことにない静寂に満ちた空間ともいえるが、

(略)

ほぼ無限の主観時間での思索を繰り返す営みもあり得る。

(略)

[超次元複合知性連続体]であるテレサは、言わば究極の観測者、傍観者である。

(『2202』第七章・劇場パンフレット、小倉信也氏監修『解説コラム』より抜粋)

 

ここではテレサについて言及されていますが、同様の表現が『時代』にも登場します。

 

およそ10倍の速度で進む時間の中で推論と検証を繰り返し

 人類が生き残る道を探っていたAI』

(『時代』より、ナレーション)

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時間断層内部に設置されていた地球連邦防衛軍の自律増殖AI。

電算装置による、人知を超越した回数で繰り返される思索。

地球連邦防衛軍の戦略展開はこのAIが導き出した結果に傾倒しており、

さながら『AIが未来を予知している』かのような構図でした。

 

勘のいい方ならもう気づいたかと思いますが、

デザリアムという国家そのものがAIの相似形

…というのが僕の予想です。

 

『2202』においては時間断層というサポートが存在していたように、

『デザリアム』では高度に改造された肉体をもって

思索の絶対量を稼ぎ出すことで、

疑似的に未来を予見し『生き残る道を探って』いるのではないでしょうか。

先に述べた『デザリアムは「2202」の地球が辿る未来』という

結論にも繋がる部分です。

 

少し飛躍した考察ですが、

デザリアムの頂点に君臨するのは全てのデザリアム生体の

思索の到達点である生命体で、

彼の思考が示した結論がデーダーのいう『歴史』として

扱われている…なんて妄想も楽しいですね。

 

 

■終わりに

…さすがにここまで長くなるとは自分でも思ってませんでした。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

改めて簡潔にまとめると今回の記事は

 

①デザリアムは未来の地球の似姿として描かれる

イスカンダルはCRS奪取のために、ガミラスデスラーへの報復として襲撃を受ける

③デザリアムは疑似的に未来を観測しているに過ぎない

 

…というたった3つの予想を、死ぬほど丁寧に書き連ねた冗長な記事でございました。

『初学者の人にもわかりやすく』と書き始めた割には何たる読みづらい記事…。

 

とはいえ脳内で漠然と考えていたことを明文化する過程で

文献を当たっているうちに予感がより強固になったり、

はたまた過去作の伏線に改めて気づいたり…と楽しい執筆作業でございました。

ひとまず今回はここでお開きとさせていただきます。

 

 

この間描いた手癖土門君。かっこいいでしょ(自画自賛)

ご拝読ありがとうございました。[終]