島の航海日誌

日誌(毎日更新するとは言っていない)

月刊「島(178cm)」/2021年6月号』

例のごとく1ヶ月を振り返る奴です。

今月は『時代』『2205』が相次いで解禁されたのもあり好調(当社比)でした。

 

■『2202』考察ツイが伸びまくる(06/02)

 もう1ヶ月経つんですね。上映当時から話題になっていた主砲の発射角。

公式設定資料集にあった『最大仰角は主砲45度、副砲60度』

という記述を読んで驚いたこともあり、その数値は印象に残っていました。

思いもよらないところで役に立ったというか…。

ちなみに久しぶりの4桁いいねで『俺が今まで描いていたイラストは何だったんや…』と

「時代」が公開されるまで意気消沈していたのはココだけの話です。

■『ヤマトという時代』公開(06/11)

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mudani178cm.hatenablog.com

 世界を席巻する新型コロナウイルスの脅威に、半年近い公開延期を

余儀なくされていた『時代』がついに公開!

 詳細は上述の記事に譲りますが、素敵な作品でした。

 記事を執筆している今日が全国上映最終日なのですが、

好評につき一部劇場では1週間のロングラン追加上映が決定したそうです。

starblazers-yamato.net

 更に今なら新作『2205』の冒頭映像もセットで楽しめますよ!(抱き合わせ商法)

劇場近郊にお住まいの皆様、島のおススメです。ぜひ。

 

■イラスト『西暦2202年の選択』投稿(06/14)

『時代』便乗シリーズその1。

『自分も古代同様選択をした』と語る真田志郎。その背後には…のシーンです。 

 本編ではCGモデルともイラストともつかない独特なスタイルの"ヤマト"だったので、

『こうあってほしい』という心に従って勝手に補完しました。

 

ヤマトの手描きディテールアップ、実は初めてなんですよね。

コストや人材面など障壁も多いでしょうが、

『2205』ではまた手描きディテールアップを見てみたいものです。

 

■火星艦(仮称)イラスト投稿(06/18)

 『時代』便乗シリーズその2。

 2202番煎じ感が甚だしいですが描きたいので描きました。火星艦。

実は本編は「メッチャ寄り」の絵と「メッチャ引き」の絵しかないので、

資料の少なさも相まって結構な難産でした。

まぁ分からんところは勝手に補完したんですけどね。艦首VLSとか。

 

 しかしこうして見ると、本当に国連宇宙軍の村雨型にそっくりですよね。

各部インテークは火星の地形を鑑みてオミットされた…とか、

村雨型の設計データは戦争勃発のため意図的にリークされた…とか。

建造に至った経緯とかアレコレ妄想できそうで夢が膨らみます。

 

■コスモ座談会に参戦(06/20)

youtu.be

 ヤマトファンならその名を知らない人はいない大先輩・FGT2199さん。

彼のチャンネルで開催された"コスモ座談会"に参加させていただきました。

 お聞き及びの通り、内容は

宇宙戦艦ヤマトという時代』の非公式オーディオコメンタリ。

 

 未公開分も含めて3時間近くしゃべり倒した挙句、

参加者様のアイコンも描かせていただきました。

急遽参加が決まったA-140さん、さたびーさん両名は間に合わなかったのですが、

FGTさん・我が家さん・八八艦隊さんのアイコンは島の絵です。

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ファンの皆様、どうか遊星爆弾を投げないでください。

 

■"#ヤマト応援塗り絵"キャンペーン景品、着弾(06/25)

 先月の『月刊…』でも触れたとおり、

『ヤマトという時代』応援キャンペーンに当選しておりました。

そして先日、遂にそのプレゼントが着弾。

郵便ポストを覗く癖がなく、危うく不在通知を見逃すところでした()

 

 シリーズ構成の福井晴敏先生、ディレクターの佐藤敦紀さん。

そして本編キャストの小野大輔さん(古代進役)・桑島法子さん(森雪役)・

中村繪里子さん(桐生美影役)・山寺宏一さん(アベルト・デスラー役)の

サイン入りという超豪華仕様。

末代までの家宝にしようと心に決めた島でありました。

 

 余談なんですけど、『時代』の円盤に収録されていたオーディオコメンタリの

小野さんと桑島さんのパート。お声だけを聴いていると

(当然ながら)古代と雪がそこにいるような気がして、

何だかリビングでドキュメンタリー番組を見ている2人が『ヤマトという時代』を

振り返っているような、そんな不思議な感覚を覚えました。

 

オーディオコメンタリ未見の方、もったいないのでぜひ。

 

■試作MMD"蛮族襲来"投稿(06/27)

 島の動画の特色にして制作難航の一因…手描き作画。

それでもたまに来るんですよ。『MMDの方も本気出したい』期が。

 というわけで火焔直撃砲を撃ってみました(蛮族)。

 

 使うエフェクトやモデルは大体脳内で組み立てられていたので、

全体のバランスを見たりカメラワークを練ったり、

あとはサブ火焔を配置するのが作業時間の大半でしたね。

 

 作画バカのイメージが強い島ですが、

MMDの表現の試行錯誤もなかなか楽しんでます。

個人的に『2199風爆発』『ガミラス艦の跳弾表現』辺りは試行錯誤したので、

現在公開中の本編冒頭含めてその辺も見てくれると嬉しいです。

火焔直撃砲は…まぁ…そのうち。

 

■おまけ(06/29)

 新宿ピカデリーにて『時代』のヤマトークつき上映が開催された日。

深く考えずに邪推したツイートが、

まさかの皆川・玉盛両先生に届いてしまうというとんでもない(当社比)事態に。

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「なんてことだ…『下品な男は不要だ』されちゃう…」と震えて眠った翌朝。

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お墨付きをいただけました(適当)。

というわけで今月も狂ったカプ厨・島(178cm)をよろしくお願いします。

みやりゅーはいいぞ。[終]

【ネタバレ】『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』を観ました。

【はじめに】

 新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言の発令、それに伴う公開延期を経て6月11日遂に封切りとなった新作(総集編に非ず!)『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』。かくいう島も、札幌シネマフロンティアの初回上映を見に行ってまいりました。

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 折り悪く、公開日(06/11)の予定が確定したのが前日の夕方。夜21時に帰宅、0時に座席を確保し、朝4時に起床、バスの始発よりも早いので徒歩40分で最寄り駅に向かい、6時発の特急に揺られて10時前に札幌に到着。翌日がバイトなのもあり(※決して地元に友達がいないわけではありません。多分)、上映終了後1時間弱で札幌を出立。帰宅したのは夜19時…"ヤマト"のためなればこそ成しえた、3時間睡眠後の14時間近い旅程。二度とやらんと心に誓いました。

 

 ※それはそれとして、ここから先は『時代』の感想をネタバレも含んでつらつらと書き並べてまいります。ネタバレを回避したい皆様はブラウザバック推奨※

 

 

 

あっ!ネタバレを警告してくれる新2号機だ!

 

\ ネタバレアルゾ!キーツケロヨ! /

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かわいいですね。

 

 

 

 

【新規カットのクオリティがエグい】

 特報で絵コンテが公開されて以来、長らくヤマト二次創作界隈の注目の的となっていた新規カット―――いわゆる『前史』にあたるパート。人類史上初めて月面に到達したアポロ11号の打ち上げから始まり、火星移民内惑星戦争(戦闘前夜)、そして2度に渡る火星沖海戦

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 もちろん国連宇宙軍の艦艇群は一部除き3DCGモデルのカラーバリエーションですし、新規デザインのメカも僅か数カットの止め絵ですが、恐ろしく精緻な描きこみ。随所に某二次創作作品を想起させるカットもあり、二次創作界隈の端くれとして嬉しい限り。特に「2199」を彷彿とさせる手描きディテールアップが再び見られたのは感無量でした。

 

明朝体字幕と作戦図が最高にキマってる】

 ドキュメンタリー形式としてまとめ上げられた本作を象徴する字幕。「2199」のように全てのキャラやメカ、場所の肩書を…というほどではございませんが、ツボを押さえて随所に挿入された「年月・出来事」の字幕が気分を盛り上げる構成。まるで歴史の教科書を読んでいるような錯覚を覚えました。

 また、小説版「2202」に先立って登場となった、皆川ゆか先生手掛ける作戦図もカッコいい。「2202」本編ではやや物足りなかった戦術・戦略面を、本編の描写を拾い上げつつしっかり補完してくれて最高でした。劇中では僅か数秒しか映らない作戦図ですが、劇場パンフにはしっかり掲載されてるので全人類買いましょう。買え。

 

【2202は直球勝負】

 さて、こちらも情報公開当時ヤマト二次創作界隈でにわかに盛り上がっていた「土星沖の再構築」。前史パートへの力の入りようから「ココもリメイク?」「フェーベ航空戦くるか」と憶測が飛び交ってましたが、こちらは設定面の再考証がメインとなり、新規カットの追加による戦闘風景や艦隊陣形の変更…みたいな修正は一切ありませんでしたね。

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 個人的に前史パートのクオリティで土星沖海戦を始めとする「2202」の戦闘シーンを根本から再構築してほしいという思いもありましたが、あえて「2202」のまま突き進んだ点に関しては、この作品をあくまで「2202」の総集編という位置づけに置いた「2202」製作陣の意地というか、矜持みたいなものを感じられたので個人的には嬉しかったです。

 個人的に一番上手いなぁと思ったのは「決戦場が土星沖になり、主力艦隊が地球軌道上に待機していた」という描写への理由づけ。11番惑星襲撃を踏まえつつ、クライマックスの展開にも繋がる形で着地させた皆川先生の手腕にはただただ脱帽です。あと『時間断層第一層 兵器工廠』の字幕が好き。我が家さんも仰ってましたが、やっぱり「工廠」の方がカッコいいですもんね。

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【真田さんの言葉が、熱い】

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 『時代』ではインタビューへの回答という形式で解説役を担った真田さん。

 しかし、その枠に留まらない情熱的な言葉が印象的でした。ここではいくつか抜粋してご紹介します。

・『もう一度話したかった、過去ではなく未来のことを』

・『矛盾と向き合うことを恐れない』

 前者はイスカンダルで命を落とした親友・古代守を悼んで、後者はその弟・古代進という人間を表して真田が語った言葉。彼との最後の会話で、それぞれの形で「未来」を見つめていたがために、「過去」を振り返ることしかできなかった悔恨。友人として、軍人として…自分の前に横たわった矛盾と向き合うことから逃げ、命令という合理的な論理に従ったことへの後悔があるからこその言葉だと思います。そんな彼だからこそ、矛盾と向き合い罪を背負ってでも心に従った古代進という男を見つめるにふさわしかった。

 総集編として「2199」と「2202」を続けて見ると、真田さんの描き方ががらりと変わっていることに気づきました。人物像的な意味でも、物理的な描き方―――作画という意味でも。

 『2199』ではメルダ少尉の処遇を巡る幹部会議に代表されるように、頭の固い『コンピューター人間』らしい冷徹な態度や生硬な表情が特徴的。古代進と衝突するシーンも描かれていましたね。

 それに対して『2202』は、合理性だけではなく『人の心に従った』場面がクローズアップされ、表情もそれに伴って柔らかいものになっていく…そんな変遷が印象的でした。

 『2199』での真田さんの描写の合間合間に、『2202』以降の真田さんの情感あふれる語りが挟まる…編集の妙による相乗効果で、それぞれの真田さんの特徴がより強調されて感じられました。

・『他者との関係は痛みを伴います、時に取り返しのつかないほどの痛みを』

・『苦しくても傷ついても殻にとじこもることなく』

『2199』では、どこか不器用で誤解されやすい人物として描かれた真田さん。しかし、古代兄弟と出会い、親友として、上官として、そして戦友として過ごした日々。上で挙げた二つの台詞には、そんな日々の経験が凝縮されている気がします。

 どこか『紫の巨人』の物語にも通じるメッセージですが、それだけ普遍的なものである…ということの証左でしょうね。

 

【劇伴のズルさ】

①『元祖ヤマトのテーマ』

 「2199」におけるイスカンダル遠征の往路後半を超駆け足で振り返るパートで流れた一曲。第17話で描かれた古代進と真田の和解の握手を皮切りに、バラン星に展開するガミラス大艦隊の突破シーン、ガミラスイスカンダルの秘密、そして帝都防衛戦…。

 説明的な場面も多く、ともすれば単調で退屈になってしまいがちな場面も、BGMに負けない疾走感でまとめ上げられていました。特にバラン星のシーンを銀幕で見たのが初めてだったので、迫力とカタルシスに圧倒され胸が熱くなりました。「2199」パートで一番泣きそうになった場所。

 ちなみに『時代』が初リメイクヤマトという皆さま、この区間には本来「七色星団海戦」という「2199」きってのベストバウトがございます。気になった人はぜひ「2199」の総集編である「追憶の航海」も観ておくれ。

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②『果てしなき戦い』

 個人的に『2202』の代名詞だと思っているこの一曲。もちろん使われたのは『第三次火星沖海戦』のクライマックスでしたが、本編とは異なりここでは我らが"銀河"艦長・藤堂早紀の決断のテーマとして使われていたように感じられました。

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 本編ではアンドロメダ改の艦橋にイーターが突き刺さった直後から流れ始める、ブラスの重低音が響き渡るパート。孤軍奮闘する山南艦長とのシンクロ率や予告編での芹沢さんの演説から、『いぶし銀の男たち』という印象が強かったメロディーの印象ががらりと変わりました。

 『これは私たちの、"人間"の艦だ!』…藤堂三佐の決然たる叫び。高垣さんの熱演や勇壮なメロディと相まって、あの瞬間の藤堂三佐の横顔が最高にかっこ良かった。劇場に行ってよかった。某『紫の巨人』の話ではありませんが、"神"の領域に近いアケーリアス文明の遺産に、"人"が放った槍が届いた瞬間。『回生篇』を劇場で目撃してから2年半余り、このシーンはやはり何度見てもいいもんですな…

 

③『Great Harmony BGM』~『Great Harmony ~ For yamato2199』

 Twitterでも言いましたが、劇場で大泣きしました。本編ではBGアレンジ版が最終話の演説シーンで使われていた分、シーンは予想できており、やはり的中。原曲にして『星巡る方舟』EDの平原綾香さんによるオンボーカル版が使われることになったのは佐藤敦紀さんのインタビューで聴いていた分、イントロが流れ始めた段階で「ここであの歌詞が!」と早くも涙腺が活動を開始。

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 森雪のように力強く希望を呼びかけるだけではなく、高次元空間にそびえる"樹"の中で悲しみに沈んでいた古代進の横に立ち、その悲しみを優しく受け入れるような平原さんの歌声…『古代進は地球を救ったぞー!』に始まる森雪の叫びで決壊寸前だった涙腺が、完璧なタイミングで響いたこの歌声で完全に崩壊。

 劇場で『ヤマト』を見ること3回。初めて泣きました。

 

④『宇宙戦艦ヤマト2202』

 『大いなる愛』と共に『2202』クライマックスを振り返るパートから流れ始めたスタッフクレジット。目で追っていると、画面の片隅に『宇宙戦艦ヤマト』の文字が…あれ?今回オープニングなかったよな…?

 アポロ11号に始まる宇宙開拓の歴史。そして他者―――地球外生命体との接触。痛みを伴い、選択を繰り返しながらも、殻に閉じこもることなく、困難に立ち向かい続けた『ヤマトという時代』を振り返る真田さんの真っ直ぐな言葉と共に流れ始めたイントロで胸がいっぱいになりました。まだ見ぬ宇宙への憧憬を掲げて始まった『宇宙戦艦ヤマト』という作品。写実的なタッチ、社会派な作品である『時代』が最後に『SF』としてのヤマトに着地する…。

 しかし島は精神年齢の低いオタクなので、そんな理屈を抜きに『OPがEDで流れる』という王道演出に大興奮したのでした。

 そして流れる『2199』『2202』のスタッフロール。改めて関わった人々の多さに圧倒されました。

 

【この作品が公式で作られたという意味】

 劇場で鑑賞中、『時代』は異質な作品という印象を受けました。

 『本編の補完を挟んだドキュメンタリー的な作品』としての在り方は、ヤマト二次創作の名作やファンによる解説・考察を彷彿とさせる、『ヤマトシリーズ』としては異質なもの。

 もちろんこの違和感は、初見勢に対する『リメイクヤマトは昔のアニメの焼き直しじゃないよ』という製作陣からのメッセージでしょう。ですが僕はそれだけではないと思っています。

 劇中、ガミラス大使のバレルはこう語っています。「人間の想像力に限界はない」。

 想像力を持った人間たちが切り開く次世代の"ヤマト"サーガ―――『時代』が持つ異質さは、そのための指標となるためのものではないのか。

 これまでの『ヤマト』と世界観を異にした『スターブレイザーズΛ』。

 時系列のミッシングリンクを補完する『黎明編・アクエリアスアルゴリズム』。

 そして過去作の再構築を掲げた新作『2205・新たなる旅立ち』。

 これら次世代のヤマト作品に対して『こんな作品でもいいんだよ』という指標(あるいはこういう作品はこういう反響を呼ぶよという実験台)となる作品。この作品そのものが、これからの『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』の先駆けなのかもしれませんね。

 

【『時代』が抱える矛盾】

 以前、Twitterで興味深い記事を見かけました。

 "昨今は「設定が緻密に練られ、伏線が散りばめられた作品」よりも「頭を空っぽにして、一目見ただけで楽しめる作品」が好まれやすい傾向にある"

 ―――片言隻句このままとは言えませんが、概ねこういった内容の記事でした。この見解の是非や真偽はさておき、2202は本質的には前者に属する作品でしょう。 

 福井さんがインタビューや劇場パンフレットで繰り返している通り、2202には現代社会にも通じる熱いメッセージが込められています。ですが、『2202』という作品を一度見ただけでそれが伝わるとは限りません。とりわけ『2202』に関しては、本編の本筋とは関係ない要素がノイズとなって、そのメッセージが伝わらなかった…という事例を数多く見てきました。

 そのメッセージを「一度見ただけ」で理解するには、それをメタ的視点―――劇中の世界と現在の世界を同時に俯瞰する、鑑賞者本人と同じ視点からの補助的解説が必要になります。

 本編の特典映像としてよく取り上げられる、監督や脚本家・スタッフ陣のオーディオコメンタリーがそれにあたるかもしれません。しかし、それは決して「劇場公開作品」であることと両立はしません。『作品』として鑑賞する場合は、それらの情報でさえノイズになってしまうからです。

 俯瞰的な解説を散りばめながら、一本の映像作品として完成させる―――そんな「矛盾」を打開する結果として選択されたのが、本編の登場人物を解説役に配した「ドキュメンタリー形式」でしょう。

 『2202』本編からノイズを取り除き、本質的な情報を抽出するだけではなく、ナレーションと解説役を配することで世界観の理解の足掛かりとする…「ドキュメンタリー形式」という特異な形式は、ファンを取り込むためのハッタリであるだけではなく、毛色の異なる複数のリメイク作品を、俯瞰的に総括するうえで必要な措置だった…と考察します。

 

【終わりに―――宇宙戦艦ヤマトという時代】

 タイトルにもなっている『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』…それはいつの話なのか。答えは劇中終盤、真田さんが語っています。

 『宇宙戦艦ヤマトが象徴する、今という時代』

 この言葉は、話者を誰に設定するかによって二つの意味で読み解けます。

 

宇宙戦艦としての"宇宙戦艦ヤマト"が象徴する今という時代

 この言葉を『真田志郎』という人間の言葉として解釈した場合です。

 彼が語る『今』は、"ガミラス戦争"・"ガトランティス戦役"二つの戦争を終えた23世紀初頭―――地球外知的生命体との接触、それによる彼女の抜錨に端を発した変革の時代。

 真田がメッセージを投げかけたのは23世紀の地球の人々です。

 

アニメ作品としての"宇宙戦艦ヤマト"が象徴する今という時代

 この言葉を、脚本を手掛けた『福井晴敏氏』の言葉として解釈した場合です。

 当時の世相を反映して誕生しながら、時代の潮流や大人の事情に流されるうちに単なる娯楽作品になってしまった『宇宙戦艦ヤマト』という作品。これを、21世紀の現代を生きる人々に、その心に再び響く作品にしたい…『2202』展開中、福井氏は幾度となくそんな話をしていました。

 福井氏にとっての『今』…それは文字通り、バブルの隆盛とその崩壊、度重なる大災害、疫病の流行に苦しめられた20世紀末から21世紀初頭という混迷の時代。

 そこには「過酷な時代を生きる無名の人間」―――過去の模倣や思考放棄により、選ぶという行為やその苦しみから逃げ続け(ることを余儀なくされ)た人々がいます。

 

 この作品はタイトルを読んで字のごとく、『宇宙戦艦ヤマトという時代』を生きる人々に捧げられた作品です。それは、『宇宙戦艦ヤマト』と共に時代を歩んだ人々=ヤマトファンに対してだけではない。

 『2202』で描かれた人々のように―――過酷な社会の中で、現実や論理に身を委ね、心を殺して生き続ける人々に捧げられた作品。

 

 ラストシーン、時代の象徴である"ヤマト"を前にして真田は語ります。

 

 ―――この宇宙にはまだ多くの他者が存在する。たとえ取り返しのつかない痛みを抱えることになろうとも、我々は彼らとの関係の中で生きていくしかない。

 そんな過酷な世界の中で、目の前の公然たる利益を捨てて自分の心を救うことを選ぶのは決して容易ではないだろう。

 しかし、困難なことだからこそ、我々は選ばねばならない。平和への希望がそこにあることを信じて。―――

 

 この言葉に何を感じるか。それは今この記事を読んでいるあなた次第です。

 『宇宙戦艦ヤマト』は、他でもない『あなた』の物語なのだから…。

 

 駄文とも蛇足ともいえるこの記事を読んで、誰か一人でも『時代』を鑑賞してくれれば…こんなに嬉しいことはありません。過酷にして混沌たる"宇宙戦艦ヤマトという時代"。そんな時代を生きる一人でも多くの人々に、この記事が響いてくれれば幸いです。

 7,000字近く長々と書き連ねてしまいましたが、それだけ心を動かされたということでどうかご勘弁くださいませ。クソデカ感情の言語化に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。[終]

月刊「島(178cm)」/2021年5月号

大型連休含む1ヶ月を振り返るやつです。

このブログ自体1か月放置してましたがアレです。五月病です。

 

■"#ヤマト応援塗り絵"キャンペーン当選(05/06)

総集編『ヤマトという時代』の再始動を記念して3月末に実施されたこのキャンペーン。

正直応募したのも忘れかけていたゴールデンウィーク明け、ダラダラ晩酌していると一通のDMが届きました。

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くりしげさんにフォロバされた時と同じくらいでかい声出た。お隣さんごめん。

 

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抽選の結果なので別に絵の技術とかは一切関係ない運試しではありますが、

自分の作品が公式スタッフの目に触れたというだけでも嬉しいものですね。

今からポスターの着弾が楽しみです。

 

■イラスト"前途遼遠"完成(05/11)

製作中の『冥王星沖海戦』からの1コマ。

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リテイク前はこんな感じでした。

当時はまだメカ絵のノウハウもわからず、

MMDモデルに申し訳程度の加筆をしている辺りからも

何とか本編に近づけようという苦闘が伺えますね。

それはそれとしてスカイドームのSSAO切れや。

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リベンジ版はこんな感じ。キャラ素材はそのままですね。

『杯ZERO3』に投稿した冒頭の2カット目とか、面舵転進直後のカットとか…

"磯風型"ディテールアップの集大成的なイラストにできたかな、と自画自賛しております。

舷窓のフレームの装甲部分のハイライトが個人的なお気に入りです。

あと舷窓前方の照星?みたいなディテールもなんか好き。

過去カットのリテイク、楽しいけど作品が完成しない主要因なのでそろそろ控えます…。

 

■"アスカ"襲来(05/14)

バンダイの新商品発表イベント「HOBBY NEXT PHASE 2021」。

「『時代』の公開も危ういし、どうせガンプラがメインやろな…」と諦観しきっていた

ヤマト界隈に、激震が走りました。

 

 

 

 

「2202」でゲテモn…もとい、アレンジメカで食傷気味だった人々から

「これでいいんだよこれで」という声が聞こえてきそうなラインナップ。

とりわけ歓喜の声が上がったのは、「2202」で登場が叶わなかった

「戦闘空母」のリメイクである

「補給母艦"アスカ"」ではないでしょうか。

もちろん僕もその一人。興奮冷めやらぬ中筆を執りました。

 

ホント節操ねえなコイツは。

だって公表時期といい艦名チョイスといいカタカナ表記といい確信犯でしょ(暴論)。

というわけで2カ月連続エヴァに便乗した島でしたとさ。

 

■『敵艦、射程に入った』(05/16)

こちらも『冥王星沖海戦』の1コマ。

本編冒頭のリテイク…と思いきや実はこれがtake3なのです。

ちなみにtake1はファイル自体消しちゃったみたいで見つかりませんでした。無能

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これはtake2。

手描きディテールアップやメカの描き方なんかも少しずつ分かってきた(当社比)ので、

一念発起してリメイクした次第です。

背景のテクスチャ表現が個人的に気に入っているので、

味をしめて今後の背景にも取り入れていこうと思っております。

 

■イラスト『半死半生』完成(05/20)

大破した宇宙巡洋艦"ナチ"から脱出する乗組員…というオリジナルカット。

イメージソースは映画『バトルシップ』のJPJ撃沈シーンです。

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本編で描かれた火星沖の残骸シーンみたいな雰囲気も取り入れたいと思ったのですが、

『あれもこれも』と欲張った結果個人的な手ごたえはイマイチ。

艦後部の破断した翼状構造物にぎっしり詰まった内部構造が性癖です。

まぁ残骸は次回作でめちゃめちゃ描く予定があるのでそこでリベンジします。

 

■短編『帝都防衛戦』公開(05/28)

冥王星沖に帰れよ。という冗談はさておき、

この動画は特務中尉さんが配布されている『ガミラス総統府』ステージの

配布記念・応援動画(非公式)でございます。

個人的に今回の作品には『MMD縛り』という制約を設けて製作開始。

AviUtlでのエフェクト追加はしましたが、

キャラ・メカ・背景作画は一切行わず形にしました。

一番手こずったのはサムネにもなっている最初のカットだったりします。

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絶妙にカメラが動きながら艦艇がフレームインしてくるので、

艦ごとにスタート地点をずらしたりしながら迫力ある映像を模索しました。

 

ちなみに超絶突貫工事だったので

・ヤマトの主翼が途中から閉じてる

ガミラス艦の主砲の向きがカットごとにバラバラ

・閉めたはずの防護シャッターが開いてる

などのミスはどうか見逃してください。

 

■終わりに

今月は「落描き」との向き合い方が大分変わった一ヶ月でした。

というのも月はじめに見かけたあるツイートが、心に刺さりまして…。

元ツイは電子の海に呑まれてロストしまったのですが、

『絵が上達しない人の特徴』と題して、

『完璧な作品じゃないと人前に見せられない』という項目が…

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↑思い当たる節しかない島のイメージ図

 

それを踏まえ、今月は『落書きレベルでもとりあえず投稿する』を意識した一ヶ月でした。

「コレ俺の絵じゃないし…」と尻込みしてしまうトレス絵だったり、

「面白くないな…」と途中でやる気が急降下し始めたネタ絵だったり、

「フォロワーさん知らないかもしれんな…」と思いつつ描いた

普段は描かない題材のイラストだったり、

惰性で描き進めちゃってイマイチ納得がいかない仕上がりになったイラストだったり。

没になったり途中で投げ出し、HDDの肥やしになってるイラストは結構あります。

 

よくクリエイター側の悩みとして「反応不足」が挙げられます。

『見てくれた人はその感想を言葉にして伝えてほしい、

 それがクリエイターの糧になるから!』と。

僕も長らくそんな悩みを抱えてたのですが、

裏を返せば自分自身もその問題の相似形に陥っていたのだと気づきました。

 

作者側からのアウトプットが少なければ反応もクソもないわけで…。

実際思いもよらないイラストが伸びたり、

意外な人に反応をもらえたりできて楽しい1ヶ月でした。

 

夏の足音も聞こえる今日この頃。

来月は梅雨の季節、ジメジメした日が続くことになりそうですが、

雨にも負けず風にも負けず、の精神でのらりくらり頑張ります。

 

『ヤマトという時代』公開するのかな…しばらくはコレだけが不安。[終]

月刊「島(178cm)」/2021年4月号

■趣旨

2021年4月の島の活動を、ツイートを中心に振り返る取り組みです。

毎月更新したいね(他人事)。

 

■初めての手描きエフェクト(04/03)

f:id:Mudani178cm:20210417213243p:plain

 

28日までは今月一番反響があったツイート(執筆時現在66RT/229fav)でした。

このツイートの反響があったからこそ、

手前味噌ですが今の自分の技量に自信を持って制作に励めるようになりました。

皆様本当にありがとうございます。

 

もちろん100%自力で完成させたわけではなく、

ひとえにmtさんの素敵なモデルあっての動画です。

www.pixiv.net

皆さんもGWはぜひともヤマトMMD沼へおいでませ。逃がさん。

 

■Discord鯖「ヤマト二次創作界隈」設立(04/05)

mudani178cm.hatenablog.com

サーバーの内容に関しては設立時の記事が詳しいのでそこに譲ります。

設立から1カ月近くが経とうとしておりますが、

思った以上の頻度で新着通知が来るので日々驚いております。

 

Twitterとは違いすぐに肉声でレスポンスが来る…という部分がまた新鮮で、

晩酌がてら通話に参加する機会が多いのも相まって、

いつもつい遅くまで喋りすぎてしまいます。

連休中はもっと賑わうといいなあ…というのは設立者の秘かな願望。

参加者の皆様、今後ともどうぞよしなに!

 

■動画「進捗報告」投稿(04/16)

MMD杯ZERO3』に投稿した本編冒頭から4ヶ月。

自己肯定と尻叩き、そしてお待たせしている皆さんへのお詫びも兼ねて投稿した、

新作カットの寄せ集め。

 こちらもたくさんの方に見ていただけました。ありがとうございます。

 

ツイートにリンクを貼っておいた『本編冒頭』の再生数も少し伸びており、

興味を持って見てくれる人がいるんだな、と嬉しくなりました。

現在も固定ツイートに鎮座しておりますので、

未見の方はこの機会にぜひ。

 

■イラスト「抜錨前夜」大反響(04/18)

f:id:Mudani178cm:20210501002313p:plain

 『冥王星沖海戦』の背景素材として描いた、

富士宇宙港地下ドックに鎮座する駆逐艦"ユキカゼ"。

完全にゾーンに入った時期だったのもあり、

2~3日で完成させた記憶があります。

 

私事というか少し品のない話で恐縮なのですが、

一昔前に模型少年をやってた頃、模型誌の誌面でよくお見かけしていた

プロモデラーのS氏(仮名)に「いいね」していただけたのが個人的に嬉しかったです。

すごい時代になったもんですね。

 

■初100ブックマーク達成(04/18)

www.pixiv.net

フォロワーさんの8割くらいは『ヤマト』ファンだと心得ているのでお門違いかもしれませんが、個人的な節目なのでピックアップ。

もちろん数字は一つの目安でしかありませんし、

そもそも「鬼滅の刃」というキラーコンテンツのネームバリューあっての結果。

それでも、納得のいく出来のイラスト、主役格ではないキャラの推しCPで

この節目を飾れたのは絵描き冥利、カプ厨冥利に尽きるってもんです。

やはすさはいいぞ。新作はこれです。

www.pixiv.net

…それはそうとしていつかは達成したいな、ヤマト100users入り。

 

■「シン・宇宙戦艦ヤマト劇場版:||」(29日)

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月 末 の 伏 兵

 

まさかこんな土壇場で一番伸びるとは思わないじゃないですか。

 

エヴァってすげえな。

推しの艦である"銀河"で伸びたので嬉しい限り。

Pixivにはエフェクト素材込みで投稿しているので、

"ヤマト作戦"ごっこをしたい皆さんはぜひ。

www.pixiv.net

■私生活について

 

「島(178cm)」としてお話しすることではない気もしますが、

せっかくなので私生活についても少し。

 

まず、半年間扶養ラインギリギリを低空飛行していた激務期間が終了しました。

「バイトが忙しいから」を言い訳にできなくなったこと、

そして両親から「復学だけが全てじゃないよ」と声をかけてもらえたことが契機となり、

今月は結構突っ走れたかな、と思います。

 

一方で、先輩が退職後「バイトリーダー」として初めて新人を迎えるも、

その新人さんが程なくして辞めてしまう…という、

世の中のままならなさを痛感する出来事も経験しました。

「俺は先輩たちのようにはできないのか」と思い悩み、

正直かなり精神的に来ました。

まさか同期との飲みで愚痴りながら号泣すると思わんかった。

 

「休学してる」という負い目がある(と感じている)以上、

多少褒められても「まぁ時間あったし」と謙遜してしまうし、

ちょっと失敗したりすると「休学してるのに」と自己嫌悪してしまう。

 

 

それでも今月は、公私・匿名・記名問わずたくさんのお褒めの言葉をいただけました。

自分という存在が思ってたよりも多くの人に認知されていること。

自分を褒めてくれる人は思っていたよりもたくさんいること。

 

自分の好きなとある動画クリエイターさんが、

「自分に腹が立つ瞬間は?」という質問にこう答えていました。

「昨日の自分より劣ってると感じた時」

 

決して焦ることなく、それでもどこかで「成長したな」と自覚し、

作品を通じてそれを感じてもらえる…。

そんな5月にしたいな、と考えつつ今回は筆を置きたいと思います。

昨年に続き我慢の大型連休となりそうではありますが、

皆さんの巣ごもり生活に少しでも花を添えられるような作品を目指して。

今月も邁進してまいります。[終]

 

唐突!島は2年間で成長したのか

■はじめに

先日『冥王星沖海戦』進捗報告と題した動画をTwitter,YouTube,ニコニコ動画の各サイトに投稿しました。

 

自信作なので全部178億回ずつ見てください。

 

youtu.be

www.nicovideo.jp

まあ全部内容は同じなんですけどね。

 


www.nicovideo.jp

昨年末の『MMD杯ZERO3』参加作品である本編冒頭以来、1個の動画として『冥王星沖海戦』関連の動画を投稿するのは4カ月ぶり。

 

そして全ての元凶始まりであるこちらのツイートからはもう2年半経っております。

 

幸いにも先述した動画には「待ってます」という旨の温かいコメントが多く寄せられており、まだ見放されていなかったことにひとまず安心しております。

 

これほどまでに完成が遅れている理由、それは…

 

「過去に作ったカットの粗が目立つ」

 

これに他なりません。

 

…いや、妥協しないと一生完成しないことはわかってるんですよ。嬉しいことに2年間の間でかなりの経験値を得られた証拠でもありますし。

 

それでも、自分の作品として世に出す以上妥協はしたくない。

 

そう考えてリテイクを繰り返しているうちにすっかり製作期間は2年半。

 

最初期の『特報』なんかは既に黒歴史です。

www.nicovideo.jp

見るな。

 

ということで今回は島の2年半の軌跡を振り返って勝手に自己肯定感を高めよう、

ついでに読者さんにも楽しんでもらおう…といった内容でお送りします。

 

こういうのは本編完成後にやるものなんでしょうが思い立ったのでやります。

ではさっそく参りましょう。

 

■比較①-c#046

 

宇宙巡洋艦"ユウギリ"にガミラス陽電子ビームが突き刺さるカット。

年末の『杯ZERO3』投稿段階ではこんな感じでした。

f:id:Mudani178cm:20210417173808p:plain[19.11.14製作]

「本編とは趣向を変えたい」という島の思惑が透けて見えますね。

ただ2199本編では"ユウギリ"の艦体に手描きディテールアップが施され、

被弾エフェクトも手描き…と、なかなかの重量感に溢れたカット。

思いきって修正しました。

f:id:Mudani178cm:20210417174009p:plain

[21.01.08製作]

思いきりすぎだろ。

被弾箇所には96丸様の「光る球体」を埋め込んで溶融した装甲を表現。

飛び散る火花は「Z-Particle」、噴き出る火焔は「SimpleMagic vol2」の発砲エフェクト。 

ビームマンPには足を向けて眠れません。

そして"ユウギリ"本体はmt様が更新されていたディテールアップverのモデルです。

 

ちなみに去る今年1月、またまた龍さんのお誘いを受けて

札幌で開催された『チカホ模型展示会』において

動画を上映していただいておりました。

 

杯ZEROには間に合わなかった、

「絶体絶命」が流れるあたりのシーンを追加したバージョンを納品したのですが、

実はその際にこのc#046も修正しておりました。

 

ビームマンPの「SimpleMagic」のGunエフェクト、

実弾の発砲炎のみならず、単純な炎の描写にも使える優等生です。おススメ。

 

■比較②-c#066

 

激突した"アブクマ"・"シマカゼ"両艦の爆炎を背にする"キリシマ"のカット。

こちらも修正前はこんな感じでした。

f:id:Mudani178cm:20210417175246p:plain

[19.11.14製作]

気持ちはわかる。ただ年末の『杯ZERO3』投稿段階で

「2199」特有のあの爆発の再現についてはある程度コツを掴んでいました。

そして「チカホ模型展示会」直前に突貫修正。

f:id:Mudani178cm:20210417175251p:plain

[20.12.30製作]

今見てもホレボレする爆発。自信作なのでサムネにしました。

爆発本体はビームマンPの自動煙エフェクト。

破片類もZパーティクルの親ボーンに設定した「光る球体」を

上手いこと動かしてやるだけなのでお気軽。

 

ただ煙の軌跡はある程度フレームが経過した後でないと表現できないので、

その辺を考慮してアニメーションを組むべしです。

 

■比較③-c#074/c#074b

被弾する宇宙戦艦"キリシマ"の点描。

例によって修正前はこんな感じ。

f:id:Mudani178cm:20210417180203p:plain

[19.05.07製作]

f:id:Mudani178cm:20210417180214p:plain

[19.05.07製作]

いずれも当時の自分が持っている技術を注ぎ込んだ形跡が見られて微笑ましいですね。

まぁ全部リテイクですけど(無慈悲)

f:id:Mudani178cm:20210417180334j:plain

[20.10.08製作]f:id:Mudani178cm:20210417180541p:plain

[21.01.19製作]

気合の手描きディテールアップ。

MMDっぽさは欠片もなくなりましたがクオリティが上がったのでヨシ!(現場島)

 

■比較④-c#088

 

機関室でハッチから顔を出す藪機関士のカット。

f:id:Mudani178cm:20210417210628p:plain

[20.07.04製作]

背景にヤマトの機関室を流用してたりキャラもグラデーションが強かったり、

こちらも努力の痕跡が伺えますね。

まぁ半年くらいで設定資料集にインスパイアされてリテイクするんですけど(無慈悲)。

f:id:Mudani178cm:20210417210641p:plain

[21.01.21製作] 

ハッチ周辺の虎縞模様、推せる。

公式設定資料集は二次創作勢の必修教科書だと思うので全員買え。

島はガミラスの方も買え。

 

■比較⑤-c#173

 

駆逐艦"イソカゼ"が被弾、爆沈するカット。

f:id:Mudani178cm:20210417212657p:plain

[20.02.08製作]

PointLight強すぎて草。これが…

f:id:Mudani178cm:20210417212547p:plain

[20.10.24製作]

こうじゃ。ちなみに爆発エフェクトを付け加え忘れてることに今気づいた。クソが。

個人的なフェチは艦首上甲板の構造物に突き出た謎のアンテナ類です。

あと"イソカゼ"は本編に近づけるべくこのカットだけ若干色合いを修正しております。

こだわりたいシーンだったので…。

 

■比較⑥-c#175

被弾炎上、爆散する巡洋艦"ツルギ"のカット。

f:id:Mudani178cm:20210417213408p:plain[19.09.09製作]

修正前はこんな感じ。本編の手描きマシマシな爆発四散ぶりを再現したくなった結果…

f:id:Mudani178cm:20210417213243p:plain[21.04.03製作]

描きました。バカか。

Twitterでは200以上の「いいね」、

とりわけ『アクエリアスアルゴリズム』の挿絵でおなじみumegrafixさんにも

反応を頂けたのが衝撃でした。

 

 手ごたえのあるカットでありました。

 

■比較⑦-c#305f

宇宙戦艦"キリシマ"が地球に帰還するカット。

f:id:Mudani178cm:20210417214226p:plain

[20.04.08製作]

こちらが修正前。『杯ZERO3』投稿作OPの締めだったので、

印象に残っている人も多かったのではないでしょうか。これを…

f:id:Mudani178cm:20210417214023p:plain[21.03.05製作]

こうじゃ!

『ヤマト』における帰還シーンといえば、

惑星に向かって正面から突っ込んでいく構図が多用されがち。

一方「2199」第1話では、地平線に向かって進んでいくキリシマの背中…という構図が印象的でした。

ついでとばかりに挑戦した惑星イラストもそれなりの出来栄え。

本編でも一つの締めに当たるカットなので気合を入れました。

ただカメラワーク周りはもう少し勉強が必要かな…といったところ。

今後の課題というやつですね。

 

■終わりに

 

途中のシーケンスに大幅に作画修正が入った結果、

残カットが70くらいまで膨れ上がりました。しんど。

少しでもいい作品を完成させようと製作陣一同(1名)全霊で作業に当たっておりますので

どうぞお楽しみに!

 

…そうそう。最後まで読んでいただいた皆様にちょっとだけサービスを。

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制作中の『冥王星沖海戦』背景美術と

次回作のキャラデザラフです。

 

満足したので今日はここまで。

ご拝読ありがとうございました。

【お知らせ】『ヤマト』創作Discordサーバーを設立しました。

■はじめに

 

島です。

今回はお知らせでございます。

 

タイトルにもある通り、通話アプリ『Discord』にて

宇宙戦艦ヤマト』の創作活動を楽しむ人々の交流の場となるサーバー、

『ヤマト二次創作界隈』を設立いたしました。

 

■目的は?

 

このサーバーでは、

 

・活動の進捗報告

・ノウハウや知識の共有

・その他雑談

 

を通じて、『ヤマト』を楽しむ人々の交流を深めることを目的としています。

 

サーバー名こそ『ヤマト二次創作界隈』となってますが、

もちろん創作をやっていない方の参加も歓迎です。

通話に『聞き専』で参加しながら反応できるような場も用意してありますので、

肩の力を抜いてゆるりと楽しんでいただければ幸いです。

 

■創作とは?

 

『動画』や『文章』のほか、『イラスト』『模型』ジャンルのチャンネルも用意しています。

趣味が合う人と進捗を褒め合ったり、

ノウハウを共有して切磋琢磨し合ったり…

不慣れなジャンルのやりとりを覗いて刺激を受けるのもいいかもしれません。

 

■最低限守ってほしいこと

 

あまりルールで縛りたくはないのですが、

集団としての秩序を維持するために最低限の約束がございます。

とりあえず2点だけご紹介。

 

【口外無用】

 

サーバーに飛び交う進捗報告の中には、

まだ世に出ていない作品、あるいはネタバレがあるかもしれません。

また、『ヤマトマガジン』購読者専用のネタバレチャンネルも用意しています。

閉鎖空間にするつもりはないのですが、

不要なトラブルを避けるためにも、

サーバー内で見かけた情報の共有は良識の範囲内でお願いします。

 

【勝手に招待しないでね】

 

別に誰かを締め出したり、管理者の検閲を入れるような意図はないのですが、

まだまだ駆け出しのサーバーです。

不用意にメンバーを増やすことで

『管理者側がサーバーの全体像を把握できず、

無法地帯のような空間になってしまう』

という事態が起こる可能性もあります。

 

運営側もまだ手探りですので、

『友達を招待したい!』という場合には

管理者にご一報ください。

 

今後、運営が軌道に乗ったらもう少しその辺は緩くなるかもです。

 

…あとはまあインターネット上での最低限の礼節、マナーを守っていただければ。

 

■興味が湧いたら

 

サーバーに参加したい!という方がもしいたら、

島のTwitter(@Mudani178cm)までご一報ください。

 

 

 

ではDiscordサーバーでお会いしましょう。

【ネタバレあり】『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観ました。

【はじめに】

ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの完結編となる

『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(以下、『シン・エヴァ』)

を鑑賞してまいりました。

封切りから2週間、ネタバレ解禁ギリギリでの滑り込み鑑賞です。

春休み中ということもあって学生グループも多く、

7~8割くらいの座席が埋まっていた記憶。

鑑賞後は「ようやく観られた、見届けられた」という満足感と

「終わってしまった」という喪失感、そして

「まだわからない、もっと観たい。読み解きたい」という感情に襲われて

かなり放心状態で劇場を後に。

『序』から14年という作中で登場人物たちが過ごした日々の結実、

そして『エヴァ』というアニメの金字塔作品に刻まれた節目。

決して熱烈なファンではないと自負してはおりますが、

これらに立ち会えたことに、感慨のようなものを抱きました。

***

こちらの記事はあくまで「僕個人の雑感」であり、

伏線だとか考察だとか暗喩だとか…そういう観点からの記述はかなり乏しいです。

そういう記事を期待していた人はごめんなさい。



【僕と映画】

知っての通り島は対人恐怖症気味です。エヴァ風に言えば「他者への恐怖」。

特に人混みとかは大の苦手。

周囲を見知らぬ学生グループに囲まれ、

劇場のロビーで待ってる間にも幾度となく逃げ出したくなりました。

なので、僕にとって「映画を見に行く」というのは、

単純に「映画館に行って作品を見て帰ってくる」という行為以上の

重大な予定なのです。

それ故に僕は「映画を見に行く」という行為に対して人一倍腰が重く、

これまで観に行こうとしていた映画を幾度か見送っています。

某怪獣王とか某無限列車とか。

***

実は『シン・エヴァ』も、当初はそんな作品群に並ぶ予定でした。

前述のとおり、僕は『エヴァ』の熱烈なファンではございません。

『ヤマト』と同じくらい熱を注いで推しているか?

と聞かれたら間違いなく首を横に振ります。

ただ今回、あまりにも周囲の人たちの鑑賞率+絶賛率が高かったこと、

そして僕のマリ推しを知っている相互さんにおススメされたことから、

(1度は土壇場でバイトとダブルブッキングして断念したものの)

重すぎる腰を遂に持ち上げ、2年ぶり(一人暮らしを始めてからは初)の

映画鑑賞へと足を運ぶ決意を固めたのです。

自分語りはここまでにして本編の話するか。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
  というわけでここからはネタバレ注意です。
 未鑑賞の方
はブラウザバックをお勧めします。

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■














【優しさを拒む少年】

『破』のクライマックスで"ニアサードインパクト"を起こしたトリガー・碇シンジ

世界を崩壊へと誘ってしまった彼の罪は決して贖いきれるものではなく、

『Q』においてはAAAヴンダー艦内における彼への冷遇と、

彼に手を差し伸べてくれた少年・渚カヲルを(紆余曲折あれど)

自らの行動で殺めてしまう―――という出来事を通じて、

彼の罪への『罰』が存分に描かれました。

***

一方『シン・エヴァ』では、

『Q』クライマックスにおける"フォースインパクト・始まりの儀式"から生き延び、

深紅の荒野を彷徨っていたアスカ、レイ、そしてシンジの3人が何者かと遭遇。

ニアサード・インパクトを生き延びた人々が暮らす『第三村』での日々が始まります。

『Q』におけるAAAヴンダー乗員らとは対照的に、昔のよしみから

「生きていてくれてよかった」と優しくシンジを出迎えるトウジ、ヒカリ、ケンスケら。

しかし、同様に村の住民たちとの交流の中で『人間らしさ』を深めていく

レイとは対照的に、シンジの胸中は複雑なものでした。

「なんでみんな優しいんだよ!」

『Q』での出来事、そして第三村での日々の中で

自らが重ねた罪と向き合ったシンジは、

村での生活に馴染めず家出した先の廃墟でそう泣き叫びます。

ヴンダーでは自らを拒むミサトさんたちに対して

「訳が分からない」と喚いていたシンジ。

『Q』における悲劇がシンジの『子供らしさ』に起因していたものだとすれば、

第三村での葛藤はシンジが『大人になった』ことの証拠かもしれません。

それでも、レイとの離別やトウジやケンスケとの会話、

その中で知ったミサトやリョウジの過去―――

第三村での出来事がシンジを『ガキシンジ』から成長させ、

自らの意志でヴンダーに乗り込む…。

***

少しだけ自分語りに戻りますが、実は『シン・エヴァ』を見るにあたって

満足いく予習ができませんでした。

「旧劇は無理でもせめて新劇場版3部作は全部見ておきたい…」

という計画とは裏腹に、『序』しか見ることができないという体たらく。

この辺りの展開を整理していて脳裏に浮かんだのは、

まさにその『序』でした。

第5の使徒との戦闘後、不貞腐れてミサトの家を出ていくシンジ。

「なぜ人に嫌われてまでエヴァに乗らなくてはならないんだ」

そう自問していたシンジが、

ミサトからリリスや本部自爆装置の存在を告げられ、

トウジやケンスケの言葉に背中を押され、

「もう一度エヴァに乗ってみます」と再起する―――。

『Q』でのカヲル君の「縁が君を導くだろう」という言葉も、

どことなくこのシーンに繋がっている…というのは深読みしすぎでしょうか。



渚カヲルの内面】

長年『人知を超えた超然的な存在』として描かれていたカヲル君の内面が描かれたのも

個人的には衝撃的でした。

「シンジ君を幸せにすることで自分を満たそうとしていた」

カヲル君の中にも利己的な、人間臭い内面があったんだ…と。

『序』での「会える時が楽しみだよ」、

『破』での「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」という言葉が、

『シン・エヴァ』を観た今では違って聞こえてきます。

***

渚カヲルという少年が"完璧な碇シンジ"としてデザインされた…という裏話は

かなり有名だとは思いますが、

『シン・エヴァ』を観た僕の純粋な感想としては、

「シンジへの好意を捨てなかったもう一人の碇ゲンドウ」…のようにも思えました。

加持さんとの対話ではズバリ「渚司令」と呼ばれたり、

「渚は海と陸の狭間、使徒と人間を繋ぐあなたらしい名前だ」との発言も

ネブカドネザルの鍵で望んで人間を捨てた=「人間であり使徒でもある」ゲンドウと

どことなく繋がる部分があるように思えて…。

***

あと、カヲル君との対話の中で紡がれた

「もう泣かないんだね」

「泣くのはやめたよ、泣いても救えるのは自分だけだから」

というやりとり。

『新劇場版』シリーズの中でのシンジ君の成長を感じると同時に、

自分を省みた時にも一番胸に刺さる言葉でした。



【アスカとの和解】

"ヤマト作戦"決行直前、耐爆隔離室に設置されたシンジの居室を訪れ、

アスカはシンジに尋ねます。

「あの時私がアンタを殴りたかった理由、わかった?」

「責任を取るのが怖くて、自分で何も決めなかったから」

あの時シンジ―――の眼前に叩きこまれたあの拳は、ヴィレの一員としてではない、

紛れもなく『式波・アスカ・ラングレー』という一人の人間としての一撃。

"「世界がどうなっても綾波だけは助ける」―――シンジはそう叫んだ。

自らが第9の使徒に取り込まれたあの時には何もしてくれなかったのに。"

旧劇での「何よ、私の時は出さなかった癖に…!」のリフレインとも取れますね。

『ガキシンジ』が、共に乗艦してくれた。

かつてのように誰かに強制されたからではなく、自分自身の願いのために。

ああ…書けば書くほど、

ラストシーンで駅にシンジを迎えに来るのはアスカであってほしかった…という

想いが強まってしまう。

…失礼、カヲマリ派の本音が出てしまったのでこの話題はここまでにしましょう。



【シン・エヴァとヤマト2202】

ここからはヤマトファンっぽいことを話します。

本編でも随所に『ヤマト』要素が散りばめられていましたが、

今回はそこには言及しません。

そこ、気づけなかっただけとか言うな。

***

『シン・エヴァ』のラストカットは、

庵野監督の生まれ故郷である山口県宇部新川駅の空撮でした。

駅からシンジとマリと思しき2人が駆けだしてきて、

そのまま駅周辺の街並みを映しエンドロールへ…。

ゲンドウの言葉を借りれば

「虚構と現実を等しく受け入れる人間」たちに対する、

「君らも現実に戻りなさい」…的なメッセージと受け取れます。

旧劇では「アニメばっかり見てないで現実見なさい!」と、

玄関から蹴り出されるような描写だったのに対し、

『シン・エヴァ』の同シーンには(ミサトさんではありませんが)

「いってらっしゃい」…と優しく背中を押してもらえるような、

そんな温かい印象がありました。

決して観客を置いてけぼりにせず、見送ってくれるような。

***

このシーンを見た時、僕は「2202」最終章の劇場パンフに掲載されていた

シリーズ構成の福井晴敏氏のインタビューを思い起こしていました。

「劇場を出た時、景色が今までとは違って見えるかもしれない。

 そういう作品を、我々は目指しました」

***

片や物語の流れの話、方や映像演出の話。

お門違い、並べて論じることがナンセンスであることは重々承知です。

『シン・エヴァ』を鑑賞し終え、パンフレットを買い、

劇場のエントランスをくぐった瞬間。

自分がまだ『シン・エヴァ』の世界にいるような気がしました。

もちろん「アニメの世界という閉塞した空間にまだしがみついている」

という意味ではなく、

「この現実世界が『シン・エヴァ』の世界の行きつく先だった」…。

そんな気がしたのです。

道路を挟んで反対側にはレイやアスカが歩いていそうだし、

タクシーを待っていたら後ろからマリが目を塞いで

「だーれだ?」と問いかけてきそうな。

旧劇場版が「虚構と現実の断絶」を掲げて完結した物語だとすれば、

新劇場版は「虚構と現実の融合」を以って完結した物語なのではないか。

***

「2202」もそんな物語だった―――そう感じています。

「2202」では、打算や妥協の果てに紡がれた合理的で残酷な現実を、

愛や命が紡いだ未来のために見直す―――そんな選択を迫られる物語でした。

「ヤマト」という虚構を通じて、現実を問い直す物語。

メカデザインがどうとか、「ヤマト」作品としてどうとかそういう話は抜きにして、

僕は「2202」をそう捉えています。

もちろん現実はアニメのようには運びません。

現実に抗うために動いてもそれに都合よく帯同してくれる人はいないし、

綺麗ごとを掲げてそれが通る世界なら誰も苦しみません。

それでも、どこかで背中を押してくれる。

沖田さんや土方さんの言葉に背中を押された経験、

ヤマトファンの皆さんには絶対あるはず。

***

「虚構と現実の融合」は、決してそれら二つを同一視することではない。

むしろこの二つを別物として捉えているからこそ目指せる境地だと、

僕は思っています。

「フィクションはきっと、こういう時に己を見つめ直すためにあるのです」

福井晴敏氏は第六章のパンフレットでこう述べています。

虚構は決して逃げ場所などではなく、現実を映し出す鏡。

そこに結ぶものは、虚像かもしれない。

それでも、その虚像に何かを感じ取れるのは間違いなく現実を生きる―――

虚構と現実を等しく受け入れることのできる人間だけ。

…書いてて恥ずかしくなってきたのでこの辺にします。

***

最後になりますが、足掛け15年近くに渡り『新劇場版』シリーズを作り続けた

庵野監督はじめスタッフの皆様。

そしてこのご時世にも作品を届けるべく

尽力してくださった全ての皆様に、

自己満足ではありますが心から感謝いたします。

本当にありがとうございます。

…さて、次は"ヤマト"の番ですね。

俺も微力を尽くすとしますか。[終]